ｲﾝﾌﾟﾗﾝﾄの弱点

ｲﾝﾌﾟﾗﾝﾄの弱点

人の体は上皮組織で覆われています。

皮膚とか粘膜がそれです。

もちろん口の中も上皮組織で覆われています。

さて、歯と歯肉との境目というのは、どうなっているのでしょうか？

歯と歯肉は、くっついています。

上皮組織の大きな役割は、細菌等の異物の侵入から身体を守ることです。

歯の表面のエナメル質というのは上皮組織です。

ですので口の中も、上皮組織で守られています。

歯と歯肉とはくっついているため、歯の周囲に細菌がはびこっても、歯肉が細菌をブロックします。

そのおかげで歯を支えている骨にまで、細菌が到達せずに済んでいます。

さて、インプラントの場合はというと、いわゆる歯の根に相当する部分（これをフィクスチャと呼びます）には、歯肉はくっつきません。

ですので、細菌は、フィクスチャ周囲の骨に到達しやすい環境だと言えるでしょう。

これは、身体にとって不利な状況ですので歯肉は、血流量を増やして、細菌から歯周組織を守ろうとします。

さて、細菌が毒素を産生して、その毒素の為に歯の周囲の骨が溶けていく病気が歯周病です。

これは、毒素から身を守るための防衛反応です。

歯の周囲にある歯根膜という組織のダメージを回避するように、歯肉が下がっていきます。

同時に歯を支える骨も溶けていきます。

同じことがインプラント周囲にも起こります。

もともと、インプラントは身体の一部ではありません、異物です。

身体は異物を排除しようとします。

インプラントの場合には、「フィクスチャの周りに歯肉の上皮組織が入り込んでいく」事で異物であるフィクスチャを排除しようとします。

骨を溶かしながら上皮が入り込んでいくと、当然インプラントを支えることは出来なくなります。

異物を排除しようとする働きを弱めることは出来ます。

例えば、心臓の人工弁を埋め込む手術を受けた方は、その為の薬を飲み続けなければなりません。

しかし、細菌感染に対する抵抗力も失われてしまいます。

歯のインプラントを埋め込んだくらいのことで、そこまでする必要があるでしょうか？

異物反応を抑えるためには、細菌の感染からインプラントや歯を守ることが最も重要だと思います。

日頃の手入れは非常に重要です。

それと同じくらい定期的なメンテナンス処置は重要です。

インプラント治療を受けた方は、決してメンテナンス処置を怠ってはなりません。