メール会員の皆さん、こんにちは(^^)/ 石田歯科診療所です。 本日の配信は、過去に報道されましたニュースをテーマにお送り致します。 『入れ歯誤飲見逃し死なせる、容疑の医師を書類送検、京都』 これは、2007年12月6日(木)のニュースです。 『入れ歯を喉に詰まらせた患者に適切な処置をせずに死亡させたとして、京都府警は6日、 京都市下京区の武田病院の男性非常勤医師(44)=同府長岡京市=を業務上過失致死の疑いで京都地検に書類送検した。 調べでは、医師は1月27日、アクリル樹脂製の入れ歯(幅6センチ、奥行き4センチ、高さ2センチ)を喉に詰まらせて救急搬送された女性(60)をX線検査して「誤飲はない」と誤診。 患部から出た膿や飲食物が肺に流れ込んだ女性を5日後に肺炎で死なした疑い。 府警は、喉を覗き込んだり、CT検査をしたりすれば防げたと結論付けた。 武田病院の上垣昭宏事務長は「患者を救えずに申し訳なかった。遺族には誠実に対応していきたい」と話している。』 この症例では、喉頭あたりで義歯は留まっていたと思われます。 喉頭蓋がふさがるのを邪魔していたのでしょう。 そのため、膿が気道に流れ込んだものと考えられます。 そもそも、義歯には多量の細菌がこびりついています。 こんなもんで喉を傷つけたら膿んでしまっても不思議はありません。 さて、通常の健康保険制度の範囲で作製される入れ歯はアクリル樹脂で作製されています。 ですので、こういった事故があっても、レントゲンには写りません。 また、間違って飲み込んだ事が明らかな場合でも、どこにあるのか場所を特定する事は困難です。 局部義歯であれば、金属材料を使っているので、レントゲンには写ります。 しかし、小さな義歯になると、気管に入ってしまうリスクも高くなります。 もし、気管に入っちゃったら、緊急手術でしょうねぇ。 気管を露出させるには、胸骨や肋骨を外さなければなりません。 緊急で大手術・・・お医者さん一人で対応できるような事態ではありません。 まぁ、それでも場所の特定が出来れば、手術も可能です。 最悪なのは、フレックデンチャーと呼ばれる金属を使わないで作製する局部義歯です。 金属材料が使ってないので、レントゲンには写りません。 それも、総義歯よりも小さなものができるので、気道に入ってしまうリスクも高くなります。 (一部の歯科医院では、バネがなく、見た目が良いし、比較駅安価に出来るといって勧めたりしていますが・・・事故が起こったらどうするのかな〜? そもそも、こんな義歯では、摂食能力も低いまんまだし。) 入れ歯を設計する時には、こういった事故に対する危機管理も考慮して設計します。 「大きな入れ歯はうっとおしいから使いたくない。」と仰る方も少なくはありませんが。 コーヌスクラウン義歯やリーゲルクラウン義歯のような特殊なアタッチメントを使った義歯とか、インプラント義歯のように口の中に、 ほぼ完全に固定する事が可能な義歯であれば、リスクは減ります。 が、それ以外の義歯で、事故のリスクを最小限に抑えるには、比較的大きな義歯にして、飲み込んだり、気管に入り込まないようにしておく以外には打つ手はありません。 しかし、喉を傷つけて、膿んじゃってぇ・・・という事故は起こりますね。 ▼石田歯科診療所 |