メール会員の皆さん、こんにちは(^^)/

石田歯科診療所です。

本日の配信テーマは『インプラントの事故』にてお送り致します。

8月1日のニュースでインプラントに関する死亡事故が報道されました。

東京都中央区八重洲の歯科医院(飯野歯科)です。

書類送検された歯科医師は、4年ほど前にインプラントの埋入手術を行なったところ、術中に誤って顎の骨を貫通させ、付近の動脈を巻き込んで、
大量出血させ、患者を窒息死させたとのことです。


顎の骨の中には下顎管という管があり、神経と血管が通っています。

この点に注意して行わねばならないことは、インプラントを行う歯科医師でなくても十分に承知しています。

しかし、傷つけた動脈はここではなかったようです。
 
このニュースでは、どの部位にインプラントが施されたのかを報じていません。

院長もミスはなかったと主張していたようです。

が、下顎骨を貫通させてしまったら、臼歯部なら、そこには顎動脈があるのは解剖をわきまえておれば、分かることです。

余談になりますが、脈拍を測るとき、いちいち手首を出してもらうのも面倒なので、私は、ここで脈拍を測ることもあります。

また、下顎の糸切り歯の部位では舌動脈が骨と接触しています。

ここの動脈を傷つけると、舌の下が膨隆して、舌を押し上げて、喉をふさいで窒息するということになりかねません。

飯野歯科医院って飯野歯科東京八重洲インプラントセンターと銘打ってます。

院長は「顎の骨を貫通したことは事実だが、骨の下に動脈があるとの認識はなかった。」と釈明したそうです。

ということは、え?こんな、基本的な解剖の知識すら怪しかった歯科医師がインプラントセンタァ?(;゚Д゚)! 
 
実際、一部には、この程度の知識でインプラントを施術している歯科医師もいると聞いてます。

骨の中にフィクスチャを埋め込めばなんとかなる位の意識しか持ってない・・・。

単価が高いので利益を出しやすい。

安価にインプラントを施せば、患者は来る。
 
インプラントの埋め込み方だけは知っているが、解剖の知識が不十分。

だから解剖学的にどこに注意を払えばよいのかが判断できない。

設備だけは、それらしく揃えていても、解剖の知識がなければ、・・・。

患者さんたちは、設備を見ることはできても、施術する歯科医師の知識や技量を見ることはできませんからね〜。

インプラント治療を受けてみようと思われる方は、その歯科医師が、大学病院やその他の病院で本格的に口腔外科に携わっていた経歴が
あるか否かをチェックされたほうがよいのではないか、と思います。

悪性腫瘍の摘出手術等の経験があれば、解剖の知識もあるはずです。

また、解剖学教室に残って勉強していたという歯科医師も、当然、解剖の知識は十分にあるでしょう。

どんな場合においても、外科手術の基本は解剖の知識です。

枚方市民病院で勤務していたときだと思います、先輩から「悪性腫瘍を経験するから、解剖がわかるようになる。どの診療科でも、それは同じだ。」と教わりました。

実際、腫瘍の摘出手術の時には、解剖の知識は必須です。

皮膚を切開して、直接、筋肉・血管・神経の走行を見るのですから。

また、これが解っていなければ、どこをどう切ってよいかの判断もできません。

しかし、インプラント専門だ、などと謳っている歯科医師で、悪性腫瘍の摘出術を経験した歯科医師は、全体の何パーセントくらいなんでしょうか?


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