インプラントによる治療というのは、真っ当な治療であれば1本につき30万円以上かかります。
非常に高額です。
その為、一生使えるものと誤解される方が後を断ちません。

インプラントは、大雑把に言って2つのパーツから成り立ってます。
1つは顎の骨の中に埋め込まれるフィクスチャと呼ばれるパーツ、もう1つは人工歯冠です。

人工歯冠は、勿論食事の時に咀嚼に直接関わる部分です。
従って、この部分は咀嚼や歯軋りの為に摩耗していきます。
骨の中に埋まっているフィクスチャが無事でも、こちらは無事ではすみません。
何年か使っていれば摩耗するし、時には割れることもあります。
そのような場合には、新たに人工歯冠を作るしか手段はありません。

フィクスチャは骨の中、即ち生体内に埋め込まれる部分です。
この状態だと、免疫反応が起こります。
平たく言えば生体内から異物を排除するという反応です。
フィクスチャはチタン合金で製造されており、このような異物反応は極めて少ないのですが、
口の中には常在菌が棲息しており、これが歯周病を引き起こすという問題があります。
歯周病は歯周病菌が産生する毒素によっうて顎の骨が溶かされていく病気です。
正常な状態であれば、歯と歯肉は結合組織でくっついてますが、インプラントにはそういった構造物はありません。
歯周病菌がインプラント周囲に感染し毒素を産生し骨を溶かしちゃったら、フィクスチャは脱落します。
この場合、再手術をしてフィクスチャ周囲に骨を再生させることができれば、助かりますが、なかなか上手くいかないのが現実です。

というわけで、インプラントは生涯使えるものというわけではありません!
それなら無駄なのか?
しばしばお目にかかるのは、無駄だと主張される御仁です。
しかし、何年間か機能させることはできます。
通常の義歯と比べると咀嚼力には格段の差があります。
また、顎関節を守るという能力に於いてもインプラントの方が格段に高い能力を有しています。
つまり、その間の食生活にとって有利な手段であることに変わりはありません。
要は、利用の仕方ですね。
何時あの世からのお迎えが来るかわからないような状態の。
御仁には無駄な治療法です。


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4月に保険改正が行われ、最先端歯科医療としてCAD/CAMハイブリッドレジンによるクラウンが小臼歯
(あくまでも小臼歯のみです。前歯や大臼歯には適用されません。)に導入されます。
導入するには歯科医院・歯科技工所の施設基準を満たさねばならない等、幾つかの問題を抱えており、今後どのような展開になっていくのかはまだ未知数です。
とはいえ、これまで自費診療として比較的高額であったものを提供しやすくなるかもしれません。