顔がゆがんでいる

についてお送り致します。

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 興味深い患者さんが来院されました。顔が歪んでいます。こちらの方は、上下とも、1本も歯は残っていません。
総入れ歯なのですが、下の入れ歯が合わないと言って、そのまま使わなかったそうです。
更に、右側で噛む癖がありました。この状態で10年以上に渡って食事をされていました。
プライバシーの問題もありますので、顔写真を載せるわけにはいきませんが、素人目にも明らかに顔が右側に歪んでいます。

 この方、両目や鼻も痛むと訴えられました。顎の位置がずれると咀嚼筋や表情筋にかかるストレスも半端ではありません。
その為に目の周囲や鼻、耳の前あたりの筋肉に痛みが起こることはあることです。

 そんな状態でも、当人は食べれると仰っていたようですが、実際には丸呑みに近い状態だったり、
食品を咀嚼して十分に栄養を吸収できる形状にする事ができないのでうから、栄養の吸収も不十分であり、低栄養を起こしています。
それに引き続いてサルコペニア(進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の 低下を特徴とする症候群 )が起こってます。

 ここまでひどいケースは、書物や講習会での資料くらいでしかお目にかかったことはなかったのですが・・・。
介護スタッフの方も「もっと早く気づけばよかった。」と仰ってましたが、
正直なところ、気が付いても当人の意志がなければ、何ともしようがありませんよね。
顔が歪んでいるのも当人が義歯を使わなかった、義歯が使えるように調整したり、トレーニングしたりする事を怠った結果です。

 結局、食事がとり難くなったので入れ歯を作って欲しいと、当院を来院されたのですが。
この状態で充分な義歯が作れるのか?という問題があります。まぁ、無理っすね。
まず、この方、満足に咀嚼ができないため、「モグモグ運動」と言ってひっきりなしに口を動かす癖が付いています。
それもあって、口をあけるときに下顎は右側にずれていきます。
こういう状態だと、まず、上顎と下顎の距離(専門用語では咬合高径と言いますが)を決定する事がメッチャ困難です。
それから、しょっちゅう口を動かしているので、入れ歯の歯茎に相当する部分をひっきりなしに頬に押さえつける事になります。
するとその部分は、こすれて潰瘍ができます。
じゃあ、その部分を削り取ればいいじゃないかと言う素人判断がありますが、そんな真似をしても入れ歯の安定が悪くなり、別の部位に潰瘍ができるだけです。

 それでも、当人や介護スタッフの努力があれば、改善する見込みはありますよ。こちらも、そのつもりで入れ歯を設計しますから。

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■9月分のイベント情報はこちら↓
http://www.kenko.pref.yamaguchi.lg.jp/ibento/index.html?ey=2016&em=09

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(日程等の変更や、定員を満たしている場合がありますので、詳細は主催者にご確認ください。)

・心と身体の健康づくり講演会「人生100年時代のアンチエイジング術」
 日時:9月18日(日)14:00〜
 場所:周南市学び・交流プラザ