素人の説明

についてお送り致します。

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 身体に異常を感じたら、医師の元を訪れるのは当然の行動です。
そこで、自分に生じた異常と思える状況を医師に説明します。
また、薬を飲んだりして症状が軽くなったらその事を説明します。

 さて、生体シリコンを裏打ちした特殊な義歯(コンフォート義歯)を希望された患者さんが来院されました。
痛くてかなわんので、これなら良いのかと思ったという話です。
痛みがあって使えないとはいえ、食事に差し支えるので、その義歯を改造します。
生体シリコンではありませんが、やわらかい材料で裏打ちします。
すると義歯による痛みは無くなりました。
ただ、この方、顎の骨が痩せすぎていて、出来れば骨補填剤を使って顎の状態を整えたいと考えます。
が、その為には簡単ではありますが、小手術が必要です。
ここまでは問題ありません。

 手術というのは、出来れば避けたいという気持ちは理解できます。
柔らかい材料を裏打ちした状態であれば、痛むことなく義歯が使えたとの事、・・・ここからが問題です、
この患者さんは「だからシリコンは必要ないと思う」との発言です。
柔らかい材料で裏打ちした状態で痛みがないのだからシリコンで義歯を裏打ちする事は必要です。
よくよく聞いてみるとシリコンではなく、「骨補填剤は必要ない」と思ったということです。

 問題点は2つ。
まず、言葉の意味する内容が理解できていないにもかかわらず、その言葉を使った事。
シリコンではなく骨補填剤です。

 もうひとつ、骨補填剤が本当に不要かどうかは、しばらく経過観察した上で判断する事であって
1週間やそこらで判断が付く事ではありません。
義歯は長期間使うものです。
この患者さんも、長い間、義歯は引き起こす痛みに悩まれたきたのです。
私の診断は、歯槽骨吸収異常および骨鋭縁による疼痛です。
骨の状態を整える事は必要です。
もし、年齢的なこともあって、手術を受けないのであれば、たとえ生体シリコンを裏打ちした義歯を使ったとしても、
再び義歯による疼痛に悩まされる覚悟が必要です。
年月が経過すれば、シリコンも少しずつ硬くなっていきますので。
その時、この患者さんは、お幾つになられているのでしょうか?
今よりも年齢が上がって体力的にも不利な状況に置かれることは明らかです。

 時代背景や科学の進歩により定義が変わることはありますが、医学用語には定義があります。
が、一般には定義を知らないまま使われています。
例えば「出血」という言葉は血が出ることですが、正確には「赤血球が血管外に漏出する事」です。
同じ血球成分でも白血球だけが血管外に漏出しても出血とは言いません。
医療関係者ならともかく、一般には知られていません。
定義も知らずに医学用語を振り回されると正確な診断ができなくなる事すらあります。
よく分らない言葉は、変に使おうとせずに、「何かよく分らんけど、こんなもの」といった表現を使ってもらいたいと思いますね。

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