摂食・嚥下は新しい分野

についてお送り致します。

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 普通に「咀嚼をして飲み込むという動作」が解析できるようになったのは、ここ20年くらいの間です。
内視鏡とか造影剤を入れたゼリーや水を飲ませてその動きをX線動画で見ることが出来るようになってから進歩して来ました。
それまでは解剖学的に「こんな風になってるんだろう」という事しかわからなかったのです。
昨今よく言われるようになった「誤嚥性肺炎」の原因である「誤嚥」がどのようにして生じているのかX線動画で観察する事ができます。

 さて、全ての歯を失っても歯茎で食べれると主張する人ってメッチャ多いです。
でも、その人が食品を咀嚼して飲み込むトコなんて見てないですよね〜。
例えば、臼歯を失って前歯だけ残っているような人、前歯でクッチャクッチャやってなかなか飲み込めないでいます。
咽喉の方へ食品が行かないので嚥下反射が遅れるのです。
咽喉に食べ物が残ってます。
咽る事、咳き込むこともありません。
普通は喉頭蓋という蓋が気道への通路を塞ぐのですが、この場合には、塞がってません。
液体は気道の方へ吸引されます。
当たり前ですが肺は食品を消化する機関じゃありません。
こんなところへ異物が入ったら気管支や肺胞がつぶされて呼吸が難しくなります。
肺炎球菌が混入すると肺炎を起こします、これが誤嚥性肺炎です。
わずかな水分なら問題にはなりませんが、そこそこ量が多くなると

 全く歯が無くなっても普通職が食べれると仰る方、喉頭蓋谷と呼ばれる部分に食品が残ったりしてます。
以前、マンナンライフのゼリーで窒息して死亡したケースがありますが、この付近に梨状窩と呼ばれる部分があって、そこにゼリーがぴったりとはまり込んで息が出来なくなってしまい、そのままお迎えが来られたという事です。
嚥下する力が充分にあれば生じなかった事故です。
嚥下する力が弱かった、弱すぎたために生じた事故です。

 事故による死亡までは行かなくても、充分な咀嚼ができないので、食品に含まれる栄養も充分に吸収することが出来ません。
徐々にフレイル(虚弱)という状態からサルコペニア(筋肉減少)という状態に陥っていきます。
当院でもそういった症例は経験してますし、実際、そういった例は沢山あるのですが、それを認めようとしない輩が多い為、表には出てきません。
なので、栄養吸収が不十分であっても「食べれる」という主張をします。

 昨今では「咀嚼力は嚥下力」、「咀嚼が嚥下をコントロールする」と言われるようになって来ました。
食品を口の中に入れて、充分に咀嚼できる人は飲み込む力も充分です、それとは逆に充分な咀嚼ができない人は飲み込む力も失っていきます。

 それでも「歯が無くても食べれる」と主張する人は後を絶ちません。
内視鏡やX線の動画で明らかになってきた事です。
通販じゃあるまいし個人の感想ではありません。
歯を失う、また歯を失ったことに対して充分な対応を行わないというのは、誤嚥のリスクを高めながら栄養吸収が出来なくなっていくという事です。

 X線動画を見てると「あ〜、気道に入っていく〜あ〜あ」ってのを見ますよ〜。
X線動画でちゃんと確認が出来ます。
歯が無くても、入れ歯が無くても食べれますよぉ、食品を飲んでますよぉ、誤嚥や窒息のリスクを負いながら、しかも、栄養の吸収は不十分というおまけつきで。


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