御餅と窒息

についてお送り致します。

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お正月になると「御餅による窒息死」が問題になりますね。
外国人からすれば、何故、窒息するようなものを食さねばならないのか?理解に苦しむそうです。
日本人の中にはつきたての御餅をそのまま飲んでしまう方もいらっしゃるようで・・・メッチャ危険です。
窒息だけじゃなくって、つきたての御餅だから、熱いのでやけどしそうだし、そもそも、食道に対する過剰な熱刺激は食道がんの原因とも言われてます。

 が、窒息を起こすのは何も御餅ばかりではありません。
そもそも日本中で1日に4人ほどは窒息事故を起こしているという調査報告があります。
また、少々古いですが平成20年の消費者庁の調査によれば、最も多いのは御餅による窒息で、頻度は10%弱です。
次いで御飯、飴、パンによる窒息で頻度は、どれも5%程度です。
御餅による窒息のうち重症のものが54.7%、と最も多いのですが、それに次ぐのがパンによる窒息33.2%、御飯によるものが29.6%、飴によるものは1.2%です。

 数が多いのは御餅による窒息ですが、重症になりやすい食品は、「こんにゃく入りゼリー」で、ナント85.7%、こんにゃくゼリーを食べて窒息した人の8割以上は重症になるって事です。
次いで、「しらたき・糸こんにゃく」、「蛸」と続きます。
重症ってのは、悪くするとお迎えが来るって事です。

 そもそも、窒息や誤嚥というのは何らかの原因で嚥下力が減退しているから生じるのです。
当院に通院されていた患者さんで朝食時に紅茶に浸したパンで窒息してお亡くなりになった方がいらっしゃいました。
この方、義歯が必要であるにもかかわらず、「歯は無くても食べられる」と主張されて、義歯を使おうとはされませんでしたね。

 嚥下には、咽喉の筋肉や咀嚼にかかる筋肉の力が必要です。
ですので、少なくとも通常の食品を咀嚼する力が必要だし、それができなければ嚥下力は弱っていきます。
病院等で食事を摂る事が困難になった場合には、柔菜とか全粥、トロミ食等、咀嚼しなくても飲み込める食事を提供されます。
短期間なら問題ありませんが、これも長期に渡ると嚥下力は低下します。

 もうひとつ大切なのは解剖学的な要素、舌骨や顎の位置関係です。
例えば上を向いた状態で物を飲み込もうとしても、飲み込めないことはありませんが、かなりの困難を伴います。
嚥下には適切な舌骨の位置や上下顎骨の位置が大切なのです。
そのためには、歯科医師会が提唱するように20本の歯が口の中に残っているか、もし歯が失われておれば、人工的な歯(義歯)を使う事が必要です。

 嚥下力が充分であれば、咽喉に食品が詰まったとしても無理やりに飲み込んでしまうか、吐き出す事が出来ます。
咽喉に詰まったままなんてことは、ほぼありません。

 脳梗塞等により咽喉の筋肉が麻痺してしまったような方の場合にはリハビリによって、ある程度は嚥下力を取り戻すことは可能です。
また、義歯に咽頭挙上装置と呼ばれるパーツを付ける事によって、ある程度は改善させる事も可能です。

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