ロシア軍によるウクライナへの攻撃に関連して、ニュースではエネルギー問題が大きく取り上げられてますが、その他にも価格が高騰しているものがあります。

　一般の保険診療では、歯の修復には12％のゴールドを含むパラジウム合金（金銀パラジウム合金）が使われています。このパラジウムは世界生産量の4割をロシアが占めています。
ロシアの情勢が悪くなってきているため、供給が悪くなってきています。というよりも、この戦争が始まった時点で供給の悪化が懸念されたため、価格はめっちゃ上がってます。
これまで1箱30gのパラジウム合金がだいたい2〜3万円程度で購入できていたものが、今11万円程度にまで高騰してます。安いときの5倍以上ですよ。その他にもニッケルクロム合金を使う事もありますが、ニッケルの価格が10倍になってます。
　
金属代は保険点数で決まっています。クラウンとかインレーといった歯の修復物、義歯の材料代を払うと保険点数には見合わない状態になっています。治療すればするほど赤字になります。保険適用の治療の為、値上がり分の材料代を上乗せすることは出来ません。歯科医院の負担です。

　金銀パラジウム合金だけが、歯の修復物を作る為の材料ではありません。これ以外で使用できる材料はあります。が、保険診療では適応症例が限られており、全ての症例を賄うことは出来ません。

　テレビでは患者の負担が増えるような報道をされたようですが、現時点では、そのような保険点数にはなっていません。保険点数は技術料と材料費で算出されてます。材料費が幾らであろうと、決まった点数の請求になります。ロシアが出さないからという理由で診療所が差額を徴収することは法的に許されません。全ては補綴物を作る技工所と歯科診療所の負担になります。

　4月に保険点数の改定があります。急なことなのでこの事態は保険点数には盛り込まれていません。国は、何らかの策を打ってくれるのかなぁ。
こちらの負担増は困りますが、患者さんたちの負担増というのもねぇ…。色んなものが値上がりしてますからねぇ。

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